この記事ではNMNの点滴は安全かどうか?について説明します。
NMNの摂取方法はいろいろありますが、メジャーなのは
摂取方法
・サプリとして飲む
・点滴を打つ
・クリームを皮膚に塗り込む
という3つがあるでしょう。主に「サプリ」や「点滴」がメジャーな方法かと思います。
同じNMNでも接種方法によって大きく効用が違うので、注意が必要なんです。
まずはなぜNMN点滴が危険なのか?を理解してもらうために、「経口投与」と「点滴」の違いについて説明していきます。
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経口投与と点滴投与の違い
現段階でNMNの摂取方法で、経口投与(口から飲む)はたくさんの臨床(人に向けた)研究で安全性が確認されているんです。
マウスレベルの実験では結果が良くても、なかなか人間では試験ができないのは想像がつきますよね?
だから非常に厳密な実験で安全性が確かめられてから、臨床研究にうつるんですよ。
しかし点滴においては臨床研究による安全性が確認されていません。
NMN研究の第一人者のワシントン大学の今井先生もはっきりと、「NMN点滴は現時点では絶対におすすめしない」とお話しされています。
その理由はいろんな危険性がわかってきたからです。(具体的な内容は後ほど)
大前提として「口から飲む」のと「点滴する」のでは何がちがうの?という質問に答えていきましょう。
口からNMNを飲む場合
口から摂取したNMNは体の中を走って、小腸という部位で吸収されます。
つまり余計な量のNMNを取らずに済むと言うことです。
なんでも腹八分目が良くて、取り過ぎは健康を害するんです。
この図を見てください。
この濃いピンクが小腸です。小腸の内部は右の図のような細かい凸凹をもつ円柱状の構造をしています。
この凸凹の中には、動脈・静脈・リンパが走っており、小腸から吸収した栄養素を体に運ぶわけです。
NMNは腸で吸収されると、肝臓→心臓を介して、血液によって全身へと運ばれていくわけです。
ここで大事なのが「腸にはバリア機能がある」と言うことです。
危険な物質は吸収しないようにして、体にこれ以上必要ないものは取り込まないようにバリアをしています。
NMNについて言うと、NMNを大量に飲んだとしても腸のバリア機能によって「必要以上は取り込まれないようになっている」のです。
これが非常に大事なポイントになります。
腸は空港でパスポートをチェックしているような人の役割をしているわけです。
NMNを点滴する場合
点滴とは直接血管にNMNを流し込む方法のことです。
一般的に点滴はすぐに全身くまなく広がるため、即効性が強いんですね。
また腸のバリア機能がないので、サプリでは取れる量以上のNMNを摂取することができるんです。
おそらくNMN点滴を始めた人は、ここに注目したんだと思います。
「点滴したら全身にくまなくたくさんのNMN届けらるんじゃない?」とね。
しかしこれが問題なんですね。
NMN点滴が危険である4つの理由
NMN研究の第一人者の今井先生は「NMN点滴は現時点では絶対におすすめできない。最新の知見なので、NMN点滴の危険性をご存知ない研修者や医師の方がいる」と警鐘をならしておりました。
詳しい内容は以下のYoutubeで見られます。
先生が指摘された危険性は、以下の4つです。
ポイント
1、高濃度のNMNは、逆にNAD分解酵素であるSARM1を元気にさせる
2、このSARM1の活性化を引き起こす突然変異の人はALSを起こす
3、サイクリックADPリボースの血中濃度を測定しないと、SARM1活性化状態はわからない
4、経口投与は腸で吸収される量に限界があり、多いと吸収されない
高濃度のNMNは、逆にNAD分解酵素であるSARM1を元気にさせる
人間の体にはホメオスタシスといって、体の恒常性を維持する機能があります。
なんだか分かりにくいですが、「今の状態を維持しようとする機能」のことです。
ダイエットしているひとはよくわかると思います。
一生懸命野菜を食べて運動してもなかなか体重が減らなかったりしますよね?
これは「増えた運動量と減ったカロリー」に合わせて、代謝をコントロールするからです。
NMNも同じで、体に大量にNMNが入ってくるとそれを分解する仕組みがあるというわけです。
本当よく出来た機能ですよね、、!からだってすごい。
NMNは体でNADに変換されることで、アンチエイジングの働きをするわけです。
それなのにNADが分解されてしまうと、NMNを摂取する意味がなくなるというわけです。
これだけでしたら「NMNをとっても体に効かない」だけですが、深刻なリスクがあることがわかってきました。
SARM1の活性化を引き起こす突然変異の人はALSを起こす
SARM1が活性化されることはALSという神経がダメになる疾患の1つの原因として考えられています。
実際にSARM1遺伝子がダメになり、SARM1が活性化し続ける人はALSを引き起こします。
SARM1をターゲットにしてALSなどの神経に関する病気を治そうをしている研究者もいます。
NMN点滴を繰り返しSARM1が活性化し続けることで、ALSをひきおこす危険性があるということです。
ALSとは?
手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。
しかし、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経だけが障害をうけます。
神経疾患は一度ダメになると回復しないケースが多く、点滴はリスクがあります。ALSは非常に怖い病気です。
サイクリックADPリボースの血中濃度を測定しないと、SARM1活性化状態はわからない
また問題の1つが怖いSARM1の活性化は、普通の検査ではわからないと言うことも挙げられます。
というのもサイクリックADPリボースは特殊な物質なので、定期健診などの血液検査ではわからないからです。
このように体内で危険な作用が働いているか?を簡単に分析できないのも、大きなデメリットの1つです。
経口投与は腸で吸収される量に限界があり、多いと吸収されない
先ほど詳しく説明した通り、口からNMNを摂取する場合は、腸のバリアによって必要以上のNMNが吸収されることはありません。
逆に言えばたくさんNMNを取っても、口から飲めば多くは排泄されます。
どの程度NMNを摂取すればいいか?はまだ研究が進んでいませんが、研究では250mgを一日に摂取して効果が出ています。
NMN点滴のまとめ
このようにNMN点滴は現状リスクがあることが理解いただけたと思います。
もちろんNMN点滴をされているクリニックの医師の方々も、日々患者さんの幸せを叶えるために努力をしています。
しかしNMN点滴は自由診療の一環で、一回100mg投与するのに5万円程度かかるとされています。
全ての自由診療ではありませんが、保険診療に比べてリスクがないとは言い切れません。