AGA

AGA(男性型脱毛)なぜ進行するのか?

多くの男性は年齢を重ねるごとに毛量や毛の質が変わっていき、薄毛に悩む男性が増えてきます。

ご自身で鏡を見るたびに「どんどん生え際が進行している」と悩まれる方も多いと思います。

この記事ではAGA(男性型脱毛)なぜ進行するのか?について詳しく説明してきます。

なぜAGA(男性型脱毛)なぜ進行するのか?

AGA(男性型脱毛)が進行する理由は「男性ホルモン」特にDHTという強力なホルモンの作用が影響しています。

基本的にAGAが進行する理由として以下の2つが挙げられます。

ポイント

1)男性ホルモンの影響

2)遺伝

AGAとは「Androgenetic alopecia」の訳で

・Andro:dannsei:男性ホルモン

・Genetic:遺伝

・Alopecia:脱毛症

という意味なので、日本語訳すると「男性ホルモンと遺伝による脱毛症」となるわけです。

まずは最重要項目である「AGAに関わる男性ホルモン」について説明していきます。

強力な男性ホルモンが毛包に作用する

「男性ホルモンが強いと薄毛が進行しやすい」と言われますよね。

実際に男性ホルモンである「テストステロン」がAGAの進行に大きく関わっています。

ボブ右衛門
最初に大事なことを言うと「DHTがアンドロゲン受容体に結合することで生まれるタンパク質が、毛包に働きかけAGAが進行する」と言うことです。

専門用語が多くて理解しづらいと思いますので、詳しく説明します。

男性ホルモンがAGAを進行させる

男性ホルモンと薄毛の関わりを科学的に初めて実証したのは1942年のハミルトン先生です。

彼は膨大な臨床研究から以下の関係性を見出しました。

ハミルトン先生の研究

1)思春期以降に薄毛が発症

2)睾丸摘出による薄毛の進行は止まる

3)テストステロン(男性ホルモン)を投与すると再び薄毛が進行する。

Male hormone stimulation is prerequisite and an incitant in common baldness

テストステロンとは、睾丸から作られる男性ホルモンのことです。

つまり「テストステロンが多いと薄毛が進行しそうだ!」とハミルトン先生は発見したわけです。

(なおテストステロン以外にも男性ホルモンはあります。詳しくは以下の記事から)

薄毛に関わるテストステロンですが、悪さをするばかりではありません。

生命活動に必要な以下のような役割を担います。

テストステロンの役割

・精子産出

・陰茎の発達

・筋力の維持

・性欲や攻撃性

・動脈硬化予防

順天堂大学医学部附属順天堂病院泌尿器科

ここではわかりやすい役割をあげましたが、もっといろんな役割を持っています。

すべての現象はバランスが大事で、一部では体に嬉しい反応を引き起こしても、一部ではテストステロンが「AGA進行」などの悪さをする現象を起こしていると言うことです。

強すぎる男性ホルモンDHTが悪さをする

なぜテストステロンがAGAを進行させるのか?について詳しく説明していきます。

まず薄毛になるわけですから、何らかの物質が毛の細胞に何か悪いことをしていそうですよね?

まさにその通りです。

毛包という毛を作る場所に厄介なタンパク質が作用して、薄毛が進行すると言うわけです。

テストステロンが、この厄介なタンパク質を作ると言うことをまずは理解してください。

テストステロンは細胞内に取り込まれると、5α還元酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)というホルモンに変換します。

ココがポイント

このDHTが強力な男性ホルモンであり、薄毛を進行させる最大の原因なのです。

このDHTがアンドロゲン受容体(後ほど説明します)と結合し、DNAに働きかけることで厄介なタンパク質を産生しているわけです。

DHTが悪さをするタンパク質を作るメカニズム

まずDHT(強力な男性ホルモン)とAGAの関係を理解する前に、少し分子生物学的な話をさせてください。

ボブ右衛門
できるだけ難しくないように説明しますので、安心して読み進めてください。

そもそも人間の体のほとんどは水分を除くと「タンパク質」でできています

脂肪もありますが、ご存知のように脂肪は体を動かすエネルギーを作るための燃料です。

基本的に人間の体を構成しているのはタンパク質というわけなのです。

このタンパク質を作るもととなるのが「DNA」なのです。

以下のようなイメージを持ってください。

ポイント

DNA:体の設計図

タンパク質:体の構成要素

DNAという体の設計図を読んで、体の構成要素であるタンパク質が作られます。

しかし一部のタンパク質を作る時に、全てのDNAが読まれるわけではありません。

人間の体を家だと考えてみてください。

換気扇が壊れた時に、いちいち家の設計図を見る人はいませんよね?

人体も同じで、設計図の必要なページ(DNAの一部)を読んでタンパク質を作るんです。

また家が良く雨漏りをするとしますよね?

そしたらできるだけ屋根の木材を頻繁に取り替えたりします。

同じように、DNA(設計図の一部)も状況によって良く読み込まれる場所が出てくるんです。

ここまで大丈夫でしょうか?話をAGAに戻すと、

DHT(強力な男性ホルモン)が「厄介なタンパク質」を作るようにDNAに働きかけているんです。

つまり「おーい雨漏りしてますよ~」と常にあなたに報告しているようなものなんです。

過剰に「AGAにとって厄介なタンパク質」が作られることで、毛包が攻撃され症状が進行するということです。

詳しいメカニズムの話

DHTがどのように「厄介なタンパク質」を作るか?というメカニズムの話をしていきます。

ここまでの話が理解できれば、あとは簡単です。

こちらの図を見ながら読み進めてください。

テストステロンが細胞内に取り込まれると、5α還元酵素によりDHT(強力な男性ホルモン)に変化します。

ボブ右衛門
この5α還元酵素が次の章で紹介する「薄毛になりやすい部位の話」を理解するのに役立ちます

DHTはその後アンドロゲン受容体と結合した後に、DNAへといきます。

そしてこれがDNAの特定の部位に結合することで「AGAに厄介なタンパク質」をどんどん作るように作用するんです。

ボブ右衛門
この厄介なタンパク質が、最終的に毛周期を変化させるように働くことでAGAが進行させます。

なぜ前髪から薄くなっていくか?

男性型の薄毛は前髪から徐々に進行してきます。

「生え際が気になってきた、、」と鏡を見ながら感じる方も多いでしょう。

考えてみれば不思議なことで、なぜAGAは前髪から進行するのでしょうか?

それには先ほどの5α還元酵素が答えの鍵を握っています。

髪の成長に関わる「毛乳頭細胞」は5α還元酵素を持っています。

そして5α還元酵素には一型と二型が存在します。

一型は毛の生える場所全てに存在するのですが、二型は頭の前側や髭の生える部分の毛乳頭細胞が持っています

この二型5α還元酵素が前頭部に存在することで、AGAを進行させていると言うわけです。

このように二型5α還元酵素はAGAの進行に非常に大事な役割を担っていて、治療にも非常に重要な要素となっています。

ポイント

・一型5α還元酵素:毛の生える場所全て

・二型5α還元酵素:前頭部や髭に局所的に存在

AGA進行には二型5α還元酵素が重要!

遺伝によるAGAへの影響

「おじいちゃんが薄毛だとAGAが進行しやすい」という話を聞いたことがある方も多いでしょう。

経験則的に薄毛は遺伝することがわかっています。

ボブ右衛門
そして先ほど紹介した二型5α還元酵素の遺伝子が、親から子へと遺伝するために薄毛になるのです。

実際に特定の二型5α還元酵素の遺伝子を持つ人は、AGAになりにくいことがわかっています。

薄毛の遺伝については以下の記事を参照ください。

毛が抜けるメカニズム(毛周期)

AGAの進行には「男性ホルモン」が関連していることが分かったと思います。

それではなぜ男性ホルモンが毛を薄くさせていくのでしょうか?

それには毛周期という概念の理解が大事になってきます。

髪の毛は、生えたら一生生え続けるものではありません。

髪は「成長期」「退行期」「休止期」という3つのサイクルを繰り返しています。

一本の毛がある程度成長したら徐々に柔らかくなったり細くなりして、次の毛が新しく生えてくると言うサイクルを繰り返しているのです。

毛母細胞が細胞分裂して増えることで、髪は成長してきます。

そして毛周期は6年程度のサイクルを繰り返して、成長期・退行期・休止期を経ていきます。

毛周期

・成長期:2~6年

・退行期:2〜3週

・休止期:3ヶ月

ボブ右衛門
成長期で髪の毛が元気に育ち、退行期で徐々に髪の毛が細くなり、休止期で次の成長期が来るまで待つというメカニズムです。
毛周期とは?薄毛の進行は毛のサイクルに原因がある

髪の毛はずっと同じように生えて、徐々に細くなり抜け落ちて最終的には生えなくなるものだと思う方は多いでしょう。 実は一本一本の毛は休んで抜け落ち、また生えてというサイクルを繰り返しています。 局所的に見 ...

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成長期の期間が短くなると薄毛が進行する

通常成長期は2〜6年ありますが、毛周期のサイクルが短くなることで成長期の期間も少なくなりAGAが進行していきます。

たとえばAGAではこの成長期が数ヶ月〜1年と短縮していくんです。

ボブ右衛門
そもそもこの成長期で髪の毛は太く元気に育っていくので、この期間が短くなると毛が細く柔らかくなってしまうんです。

AGAでは毛が育たないまま退行期に入り、休止期にいくので必然的に短くて柔らかい抜け毛が多くなるのが特徴です。

このように毛周期が早くなり、毛が育たないままサイクルを繰り返すことを毛包がミニチュア化すると言います。

抜け毛のメカニズムを理解するのには非常に重要な概念なのでよく覚えておいてください。

AGAが進行すると柔らかい髪の毛が増える

このように十分な成長期が来ないままで毛周期が回ると、柔らかい毛がどんどん増えていきます。

その結果「昔よりも毛が細くなった、軟毛になった」という現象が起きます。

硬い毛がやわらなくなるのではなくて、周期が速くなるので十分に毛が育たなくなった結果とも言えます。

AGAが進行すると毛は生えなくなるのか?

ここまでの話をまとめると、AGAの進行とは「毛周期がはやくなり、髪が十分に成長できないまま抜けること」だと言えます。

つまり髪が生えていないように見える場所でも、「毛がなくなった」わけではないことに注意です。

しかし究極的にAGAが進行してしまうと、毛の組織の周りが固くなってしまいうまく毛が動きにくくなってしまいます。

するとより大きく毛を成長させるために、毛の生えていない「休止期」の期間が長くなったように見えます。

この状態がいわゆる「髪の毛がなくツルツルに見える」状態です。

実際は毛がないわけではくて、休んでいるという理解です。

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